エフブンノイチ
・・・ 1/f 物語 ・・・
この物語はハンフィクションです。
(ハンフィクションとは登場人物はフィクションだがその内容は、
ほぼ事実に基づいている物語のことをいいます)
●第一話 ガラスからJAZZ!?
●第二話 窯(かま)ジイさん
●第三話 ジ ゲ ン 
●第四話 釉木(ゆらぎ)先生
●第五話 アンモナイト
●第六話 由良さん
●第七話 土殺し
●第八話 笑う陶芸教室
ガラスからJAZZ!?

あ〜良い天気だ!
久しぶりに友泉亭公園でもいってみよう・・・と樋井川沿いに歩いていると、どこからかピアノの音が聞こえてくる。どうもJAZZのようだ。

左手の野中整骨院を過ぎたあたりから聞こえ始めたのだが「器は好きですか?」とかいてある陶芸教室を越えると聞こえなくなる。
え〜っ!こんなところに陶芸教室があったっけ?と引き返してみると、どうも、この建物のどこかから音がしている・・・・・・・・・・・・が、

建物の外側にはスピーカーらしきものが見当たらない。
陶器の作品がディスプレーされているウィンドーに近づいてみると、音はどうもこの工房の中から出ているようだ。

よほど大きな音を出さないとこんなに外まで聴えるはずはないと思い、ガラス越しに中を覗こうとウィンドーに触れてビックリ!
なんとウィンドーのガラスがビリビリが振動しているではないか!
・・・なっ!なんなんだ、ここは!!!!
ちょいっと下がると壁に1/f の文字が・・・・

1/f(エフブンノイチ)ってなんだろう???
ちょっと中に入ってみよう。(つづく)

窯(かま)ジイさん <TOP>
 中に入ると、そんなに大きな音を出しているわけではない、というより非常に心地よい音量でJAZZが流れている。
よく見ると、えっ?ココは喫茶店?

へえ〜っ、この陶芸教室にはカフェもあったんだ。・・と、奥から白髪の男の人が「こんにちは〜」と出てきた。

この人が「窯じい」さん。もっぱら作品の窯を焚いているのであだ名が窯ジイとなったらしい。シラガ混じりだが、昔はそこそこのいい男だったに間違いないっ!・・・

とりあえず珈琲をたのんで、外に聞こえる音のわけを聴くことにした。
「あ〜、あれはネ〜、ウィンドーのガラス全体がスピーカーになってるんです。」と窯じい。
 えっ?ガラス全体がスピーカー・・・・?
?????(-_-;) の顔をしていると、ガラスの側まで連れてって説明してくれた。
なんと縦2m横5mほどのウィンドーに振動体と思われる装置が付いており、その装置が音の出るアンプにつなげてあるではないか!
・・・・いやいや、こんなことが出来るなんて。
ついでながら、1/fの意味を聞こうしていると、外に赤いラパンが止まり若い女性が二人工房に入ってきた。(続)

 

ジ ゲ ン <TOP>
 えっ?今入って行かれたのは教室の生徒さんですか?
あー、そうです。・・・それで1/fの意味はですね〜・・・・・と、窯じいさんが1/fの説明をしてくれてるのだけど、隣の教室のほうが気になって、耳はあっちを向いている。
へえ〜あんな若い娘さんも陶芸をやるんだ・・・・・・。
・・・・と、さっきからず〜〜っと工房の外でダベリングしていたオバサン二人も「失礼イしま〜す」と顔だけこちらを向き、腰を傾けて教室の中に入っていった。

「ところで、聞いて聞いて」・・とオバサンのひとりがいきなり話をはじめた。実はうちの「ジゲン」を2週間程・・・のしつけ教室にいれたらネ〜、ものすごスナオになって帰ってきてね、ほんとに言うことをよく聞くようになったとっ!
へ〜っ、あのジゲン君が・・・・・と、もうひとりのオバサン。
 
なに、なに、2週間ほどで子供が素直になる教室・・・・・?
うちの馬鹿息子もその教室に入れると2週間ぐらいで素直になるんだろうか?・・・・・な〜んて考えていると、
「そういう訳で、1/fという工房名にしたんです、どうです、アナタも陶芸やってみませんか?」・・・と窯じいさん。

結局、1/fってなんのことだったんだろう?はーはーと相槌をうつだけで、窯じいさんの話はほとんど耳に入ってなかった。
それよりも2週間で素直になったジゲン君とやら話のほうが気になる。

よし!とりあえずはこの陶芸教室に入門して、うちの馬鹿息子のためにも、あのオバサンからジゲン君の話をゆっくり聞くことにしよう!
しかし、子供の名前がジゲンなんて・・・・ひょっとして、あのルパン三世と関係があるんだろうか?

え〜っと、「窯ジイさん」と呼んだらいいんでしょうか?・・・この陶芸教室ちょっと面白そうだから私も入門しようと思います。入会金とかはいくらなんですか?(続)


 

釉木(ゆらぎ)先生 <TOP>

あの〜、1/fのことなんですが・・・・と、要点を聞き逃したふりをして、再度1/fの意味を聞こうとすると、「ああ、入会金ですか?今は、一周年記念で年内は通常八千円のところ五千円になってますので始められるなら今がチャンスですよ。」・・・・・と
窯じいさん。
え〜、いまどき五千円程度で陶芸が始められるんだ・・・。

行きがけの駄賃といおうか、散歩途中の太陽がそうさせた・・といおうか、
ジゲン君のシツケ教室の話も気になるといおうか・、いつのまにか陶芸教室入会書とやらを記入し始めている自分がいた◎◆△?@×?
・・・まっ、これもなんかの縁か!・・と入会書を記入し終えると、「そんじゃ、とりあえず先生を紹介しときましょう。」と
窯ジイさんに隣の教室の方へ案内された。

え〜と、彼女がこの工房の先生で釉木(ゆらぎ)さんと言います。

なに、なに、ここの先生は女性なんだ・・・・・・。それに、陶芸などをやる女性はきっと、がっちりしたオバサンというイメージをもっていたが、この釉木先生とやらは小柄で、陶芸をバンバンやっていたという感じの人にはとても見えない。

陶芸を始めてもう二十年近くになるという、見るところ、若い頃
はそこそこの美人だったに間違いないっ!・・・

先ほどの若い女性やオバサンたちはワイワイやって作陶をやっている。なんだか楽しソ〜(続く)


アンモナイト <TOP>

なんなら、今から陶芸のさわりでもやってみますか〜?と窯じいさん。

「え〜っ入会書を書いた今からいきなり???さわりって何をやったらいいんですか?」・・・と、ちょっとうろたえつつも、持ち前の好奇心がムクムクと沸いてくる。

初めての方は、陶芸の流れをなんとなく理解していただくため、とりあえず湯のみなんか何を作ってみてもらってますが、アナタは男性だから、土練りでもやってみますか?・・・あ〜っ、釉木先生はちょっと手が空かないみたいだから、僕がやってみましょう。・・・と窯じいさんが、土練りとやらを始めた。

陶芸をやるのに土を練るとはど〜ゆ〜ことなんだろう、と思っていると、・・・ほらっ、これが粗練り(あらねり)・・・・そして、・・・これが菊練り(きくねり)・・・と、窯じいさんはヒョイヒョイと土を練っていく。

え〜っ、なんかよく分からんけど、菊練りとやらをやった粘土は古代生物のアンモナイトみたいな形だな〜・・・・・・と思っていると、

ほらっ!こうやって土を練ると菊の花ののように見えるでしょう?だから菊練りと言うらしいですけど、ある物知りの生徒さんが「アンモナイトのことを菊石っていいますよね。」というんです。
この形を見ると、なんかそっちのほうが当たっているよネ。・・・・

へ〜っ、やっぱアンモナイトか!、次は何が出てくるんだろう?

由良さん <TOP>

 なんじゃ?このまんじゅう〜〜
奥の方から「蒸しパン」みたいなまんじゅう?を持った男性が出てきた。・・・・といきなり、「あ〜、新しく入られた方ですか?どうもよろしく〜。なんと、このまんじゅう近所の野菜やで美味しいと評判だったので試しに買ってきたんですがね、中をあけたら<あん>もないト!しかし、評判どおり旨い!

えーっ!なんのことだろう?いきなり・・・・・と思っていると・・・・

いや、いや、この若いお二人さんがね〜、最近「駄じゃれ」という言葉の遊びの奥の深さがなんとなく分かってきた、な〜んちゃって、是非その極意を教えて欲しいと言うもんですからネ、ちょっと軽い例をしめした訳でしてハハハハハッ!ほら、この饅頭の中は「あんも無いとッ!」
・・・・・・・・と私の前で饅頭を開いて見せてくれた。

本当にあんこが入っていないで芋らしいものが点在している。・・・旨そうだ!・・・・・・目の前のテーブルには窯じいさんが練った土がアンモナイトのように転がっている。あ〜それで<あん>もないと・・・か(-_-;)
素晴らしい、なんという当意即妙か・・・・この人はなんなんだろう・・・・と思っていると、さっきの若い二人の女性が、「わー、由良さん、うまい!」と手をたたいて喜んでいる。

へ〜ッ!この人はユラさんというのか?・・・・・・・、「この程度で喜んでいるようでは、まだまだ甘いな〜」といいながら、由良さんはどこかへ去って行った。???????????

今の方はなんなんですか?・・・・・・と聞くと、あ〜気にせんで下さい。あの人はその存在さえ揺らいどるもんで「由良さん」と呼ばれているけど、自分の存在を主張するため、いっつもショーモナイ駄じゃればっかり言いよーと。・・・・・と窯じいさん。

いやいやショーモナイなんてとんでもない、できることなら陶芸の方は土練りだけにしといて、由良さんとやらに駄じゃれ教室でもやってもらいたいもんだ。・・・・・な〜んて思いながら、なかなかアンモナイトの形にならない土を懸命に練っている自分に気がついた。(続く)

 

土殺し <TOP>
ときは流れ、太陽のまぶしさゆえに?この陶芸教室に入ってしまったわたしも、ついに電動ろくろを触らしてもらえるようになったのであります。
電動ろくろで作品を作る場合、作品をいきなり作れるわけではなく、まず土殺しという作業がある。

ろくろの上においた粘土の塊をろくろの回転にあわせ、ヒューッととんがらせたり、押しつぶしたりするうちに、中心があってきて、成型をしやすいようになじんでくるわけで、そういう状態までもってくることを業界?では土を殺すというらしい。

釉木先生がやるのをみてると、いとも簡単にみえるんだけどな〜、なかなか言うことをきいてくれん・・・・と、くそ力で粘土を締め上げると、ズルッと途中から切れてしまった。

あ〜結構むずかしいな〜と、ぼやいていると、「力まかせじゃ土は言うことを聞いてくれませんヨ、粘土が女性だと思ってやさしく、やさしくくやってやるといいですよ」っと先生。

へ〜っ!粘土は女性かあ・・・・、
まあ、土殺しとやらは、今日が始めてなんだし、そう簡単にできるものなら、陶芸家も苦労はしないだろう・・・・なんて思っていると、ロクロの上でまた、土がクネクネと妙な動きをしだした。

・・・・そういえば最近知り合った女流の書道家で五行詩で有名になった寺本一川(いっせん)さんの詩にもこうゆうのがあった。

からだは土

私という花が

咲ききるまで

「先生、この動きを見ると、先生のいうとおり土は女性のような気がしてきますね〜」  (続く)

笑う陶芸教室 <TOP>
あはははははははははあはははは〜あはっあは〜っ

人のロクロを指差して笑っている女の子がいる・・・・・いや女性というべきか?あんまりおおらかに笑うもんだから、少女のようで可愛らしい・・!

ちょっとまてよ・・・?笑われているのはまぎれもない僕のはずたが、こっちまで吹き出してしまった。おかしいよネ〜、この粘土の動き、なんかこんな踊りってあったよね〜、でインドかどこかのクネクネダンスみたいやね〜

あはははははははははあはははは〜あはっあは〜っ!はあっ!

くそっ!そこまで笑わんでいいやろ・・・・・・と思いつつ粘土の立て直しを図ろうとするが・・・だめだっ!

釉木先生、だめです、この粘土・・僕のカミサンと一緒で言うことを聞きません・・・・・。

多分、土練りがちゃんとできてなかったんでしょう?そのままではいつまでも芯がとれないとと思うから、粘土をロクロからはずしてもう一回ちゃんと土練りをしましょう?・・・と釉木先生。

・・・ということで、石膏版の上で土練りの再開と相成った。

さっき大笑いしてたのは確かカオリちゃんとかカオルちゃんとかいってたな・・・まあ、可愛いから許せるけど・・・・・・・。そういえば、この陶芸教室にはもうひとりあんな感じで笑う娘がいたよな〜、だれだったけ?

確かマンナカとかスミとかカドとか、なんかそういう感じの場所を示す名だったと思う。そうそう・・・たしかこないだ手をすべらして釉薬の中に作品を落とすかなんかして笑いでごまかしてたな〜。あの作品、ちゃんと焼けたんだろうか?

ちょっと待てよ・・良く考えるとこの教室まだまだいるよな〜、独特の笑い方をする人が・・・・・・・必ず笑いながら工房に入ってくるひともいれば、宴会のとき目が座りながら笑っている娘も・・・遠慮がちながらも必ず笑いに入ってくる人もいるし、かすかに空気がもれている人もいる。

いろんな笑いがあるけど、笑えるっていいよな〜

よし僕もこの工房では遠慮せずに笑うことにしよう!!

「笑う陶芸教室」ってか?・・・・しかし、釉掛けの時は笑わないようにしよう・・・(続く)

 

 

 

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